2025年3月31日 (月)

健康ほっとニュース 4月号

いよいよ新学年の始まりです。4月に小学校に入学されるお子さんはこの機会に打ち逃しているワクチンがないかどうかチェックされると良いと思います。
麻疹風疹ワクチンの小学校入学前(5才以上7才未満)の第二期の定期接種は、一時ワクチンが供給不足であったことを考慮し期間を2年間延長することが決定しましたので御安心下さい。12カ月から24カ月の第一期も同様に延長になります。
帯状疱疹のワクチンの公費接種が 本年度4月から開始されます。
〇対象者 肺炎球菌と同じで基本65才 今年度は70,75,80,85,95,100才
5年間の救済処置でその後は65才のみになります
ワクチンは2種類ありどちらでも可能です。
〇生ワクチンは皮下接種1回で自己負担2500円
 シングリックスは筋肉注射 2回で1回6500円となります。
昨年12月半ばからインフルエンザA型が例年になく爆発的に流行しましたが最近は流行もかなり減少しています。B型の流行もないようです。
新型コロナウイルス感染症の流行は少数ながら持続しています。感染防御については引き続き基本的なことをしっかり継続しましょう。新型コロナでは唾液の中にウイルスが多数存在するので「唾が飛ぶ」ことを極力避けるべきです。マスクなしの会話、食事中の会話が最もリスクが高く、多人数での会食等はできれば避けるべきで、アルコールが入って声が大きくなると危ないですね。マスクなしのカラオケ等は要注意です。他方しっかりマスクをして会話も控えていればかなり感染は予防できると考えられます。
スギ花粉症について:スギ花粉症のピークは過ぎたようですがまだまだ症状を訴える方は多いようです。スギの場合は5月の連休位まで、ヒノキの場合はもう少し症状が続く可能性があります。最近は新しい効果の強いお薬も沢山あり、しっかり治療を受けている方は症状が軽いようです。小児の場合は診断が難しい面もありますが眼をかゆがってこすったりするのが特徴です。内服、点眼、点鼻薬など様々の種類のお薬がありますので症状にあったお薬を使えばコントロ-ルことは可能ですのでかかりつけの先生に御相談下さい。花粉情報も様々ありますので外出の時等参考にされると良いでしょう
市川市急病診療所は毎日必ず小児科担当医が配置されています。午後8時から11時の診療で休日は午前10時から午後5時も診療します。東京ベイ浦安市川医療センター(以前の市民病院)や順天堂浦安病院等の病院は重症で紹介された患者さんなどで忙しい状態が続いています。お子さんの急病の時は直接病院等を受診せず、まず急病診療所を受診して下さるようお願いします。ホ-ムペ-ジは下記です。http://www.city.ichikawa.chiba.jp/net/hoken/suisin/kyub1.htm

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2024年12月 2日 (月)

マイコプラズマ肺炎について

マイコプラズマ肺炎はウイルスによく似た微生物のマイコプラズマに感染しておこる肺炎です。オリンピックの年に流行るといわれていますがそれ以外の時期にも流行があります。通常の肺炎と少し違った所がある肺炎ですので特徴をまとめてみました。
通常の細菌性肺炎は高齢の方や体力の弱った方に多いのですがこの肺炎は
比較的若い方に多く、幼児や学童にもよく見られますが乳児には少ないようです。
症状は風邪様の症状のあと発熱、咳が続きます。咳は乾いた咳で夜から朝にかけて咳き込みが強いのが特徴です。熱の割には元気があることが多い印象です。普通の咽頭炎や気管支炎でよく処方されるタイプのペニシリン系、セフェム系の抗生物質では効果がないため、それらのお薬を処方されて内服していても熱が続くときには要注意です。インフルエンザや新型コロナウイルスのように数日ですぐ感染することはなく、2~3週間の潜伏期で伝染するためそのころ家族で発病することがあります。
診断は上記の症状がヒントになりますが通常の肺炎と違って聴診しても所見が乏しくレントゲン写真ではじめてわかることも多く診断が遅れることもあります。またレントゲン写真の変化は症状に比べて強いこともあります。
治療はマイコプラズマ肺炎に効くタイプの抗生物質を服用していただくと比較的急速に発熱等の症状が良くなることが多く、一般の肺炎に比べて治りやすいといえます。レントゲン写真の影がひどいからといって入院治療が必要なことはまれです。お薬をきちんと内服して安静にしていただけば良いと思います。ただし一部のお薬に耐性になっている場合もあり、他の細菌性の肺炎を合併しているような場合もあるので2~3日しても熱の下がりが悪い場合には再診して下さい。
後遺症として咳が長引く方もいますが次第に軽快します。麻疹や水痘などのウイルス性の病気は一度かかると免疫ができて二度とかかりませんがマイコプラズマはウイルスではないので何年かたってまたかかることがあります。

 

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2020年6月 1日 (月)

◎新型コロナウイルス感染症について   

<感染の仕方>一般的には飛沫感染、接触感染で感染します。空気感染は起きていないと考えられています。 飛沫感染は感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つばなど)と一緒にウイルスが放出され、他の方がそのウイルスを口や鼻などから吸い込んで感染します。閉鎖した空間で、近距離で多くの人と会話するなどの環境では、咳やくしゃみなどがなくても感染を拡大させるリスクがあります。マスクなしの会話、食事中の会話が最もリスクが高いようです。勿論多人数での会食等は避けるべきですが、家族内感染も問題になります。
接触感染は感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、その手で周りの物に触れるとウイルスがつきます。他の方がそれを触るとウイルスが手に付着し、その手で口や鼻を触ると粘膜から感染します。一番大事なのは「ウイルスが体に入るのは、目と鼻と口しかない」ということです。万が一手にウイルスがついても、顔さえ触らずに手をしっかり洗えば安全です。

<感染力>80%の方は誰にもうつしていないというデータがありますが、特定の環境で特定の方から多くの人に感染したと疑われる事例もあります。

<症状>感染から数日間の潜伏期を経て発熱、咳、咽頭痛、倦怠感等の感冒様症状が出現します。

<受診の注意>感染しているのではないかとの不安から適切な相談をせずに医療機関を受診する方がいると、かえってご自身が医療機関において感染するリスクも高めることになります。軽いカゼ症状の場合は医療機関を受診せず自宅で安静にして経過を見られた方が良いと思います。

<一般的な注意>不要不急の外出を控える。換気が悪く人が密に集まって過ごすような空間、不特定多数の方が接触する恐れが高い場所いわゆる三密への出入りをできる限り避ける事が大事です。上記のような場所では以下の注意を

○換気を行う(可能であれば2つの方向の窓を同時に開ける)

○人の密度を下げる(互いの距離を1、2メートル程度あける)

○近距離での会話や発声などを避ける(やむを得ない場合はマスクをつける)ことが必要です。

 

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2019年5月28日 (火)

ホームページ新設

ホームページを新設しました。

https://www.inadaclinic.net/

そちらもごらんください。

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2017年9月 1日 (金)

RSウイルス感染症について

Q:RSウイルス感染症とはどのような病気ですか?

A:RSウイルスによる呼吸器の感染症で寒い季節に多くみられます。生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の児がRSウイルスに一回は感染するとされています

Q:RSウイルスはどのように感染しますか。

A:RSウイルスに感染している人が咳やくしゃみ、又は話をした時に飛び散るしぶきを浴びて感染します。またウイルスがついている手指や物品(ドアノブ、手すり、スイッチ、机、椅子、おもちゃ、コップ等)を触ったり又はなめたりすることでも接触感染します。 

Q:どのような症状が出ますか?

A:RSウイルスに感染してから通常46日位して発熱、鼻汁などの症状が出て数日続きます。多くは軽症で、成人や年長児では普通はカゼ症状で終わりますが、乳児期、特に乳児期早期(生後数週間~数カ月間)に感染した場合は重症化することがあります。最初は咳、鼻水、鼻づまりなどのカゼ症状で始まりますが、次第に咳がひどくなる、ゼイゼイする、呼吸困難となる等の症状が出てくることがあり、その場合には細気管支炎や肺炎を起こしている可能性があります。特に低出生体重児や、肺や心臓に病気がある方は重症化のリスクがあります。胸やおなかをペコペコさせて息をしている、顔色が悪い、母乳やミルクの飲みが悪い等の時は要注意で早めに受診していただく必要があり、重症になった時は入院して酸素吸入等の治療が必要になることがあります。その他重い合併症として注意すべきものには、無呼吸発作、急性脳症等があります。  

Q:診断のための検査はありますか?

A:綿棒で鼻から取って迅速検査できるキットがありますが重症化しやすい1才未満の方のみ保険の適応があります。

Q:どうすれば予防できますか?

A: 咳等の症状がある年長児や成人は、できるだけ乳児と1歳児との接触を避けることが乳幼児の発症予防につながります。また、乳児と1歳児に日常的に接する人は、RSウイルス感染症の流行時期はもちろんのこと、普段から咳などの呼吸器症状がある場合はマスクを着用してお子さんに接することが大切です。接触感染の対策としては、子どもたちが日常的に触れるおもちゃ、手すりなどはこまめにアルコールや塩素系の消毒剤等で消毒し、流水・石鹸やアルコール製剤による手洗いを良くすることが大事です。

Q:治療方法はありますか。

A:特別な薬はありません。治療は基本的には症状を和らげる対症療法です。また現在、予防のためのワクチンはありません。但し遺伝子組換え技術を用いて作成されたモノクローナル抗体製剤であるシナジスというお薬があります。非常に高価なお薬ですが、低出生体重児や、肺や心臓に病気がある等重症化するリスクの高い方に、流行初期から流行期中継続して筋肉注射することにより、重い症状を予防することができます。対象になる方はもとの病気でかかっている病院からお話があると思います。

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2017年6月 7日 (水)

ヒトメタニューモウイルスについて

最近ヒトメタニューモウイルスが流行しています。どんな疾患なのかQ&Aで簡単にまとめてみました。

Q:あまり耳慣れないのですがヒトメタニューモウイルスというのはどんなウイルスですか?A:呼吸器に感染するウイルスの一種です。13歳の幼児の間で流行することが多いのですが、大人にも感染します。小児の呼吸器感染症の510%、大人の呼吸器感染症の24%は、このウイルスが原因だと考えられています。とくに乳幼児や高齢者では重症化することもあり注意が必要です。

Q:どんな症状が出ますか?A:ヒトメタニューモウイルス感染症の症状はいわゆる風邪の症状ですが、一般的な風邪よりひどい症状が出ます。鼻水も量が多く出ます。咳は1週間程度と長く続き、悪化すると 喘息性気管支炎や細気管支炎を起こし、ゼイゼイ、ヒューヒューして呼吸困難を起こすこともあります。熱も45日高熱が続くことがあります。通常1週間程度で症状は治まります。何度か繰り返して感染することがありますが年齢が上がるにつれて徐々に免疫がつき、症状が軽くなる傾向にあります。季節は36月、つまり春先から梅雨の時期に流行が多くみられます。症状はやはり乳幼児で多いRSウイルスに似ており症状だけで鑑別するのは難しいですがRSウイルスは冬に多いのが特徴です。
Q:どうやって診断するのでしょうA:インフルエンザやRSウイルスと同様に迅速診断のキットがあります。鼻や咽頭を細い綿棒でぬぐって検査し515分程度で診断可能です。但し健康保険では6才未満のお子さんで、肺炎を疑ってレントゲン写真を撮った方のみ検査の適応になります

Q:治療はどうするのですか?A: ヒトメタニューモウイルスに対する特別なお薬はありません。細菌ではないので抗生物質もウイルスそのものには効果ありません。従って治療は対症療法が主になります。咳や鼻水を抑えたり、熱を下げたりするためのお薬を処方します。自宅療法としては水分をしっかりととり、温かくして、ゆっくりと休みましょう。

熱が長引く時は細菌による中耳炎や肺炎などの合併症をおこしていることがあるので、もう一度早めに受診しましょう。抗生物質の投与が必要になることもあります。残念ながら予防のワクチンはまだありません。

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2016年4月19日 (火)

夜間休日の小児の急病の受診,相談について

お子さんが夜間や休日に急に具合が悪くなられた時どうすれば良いかまとめてみました。

1)お子さんが夜間や休日に急に発熱しても、ぐったりしたり、嘔吐したり等の症状がなく、水分も少しずつとれる場合には通常時間外に救急で診察を受ける必要はなく、翌日かかりつけの先生に受診していただけば良いと思います。 お子さんが急に発熱したり嘔吐した時のためにふだんから解熱剤や吐き気止めの飲み薬や坐薬を用意されておくと電話相談して使用することもできるので安心だと思います。

2)受診した方が良いかどうか迷う時は電話相談が利用できます。

◎市川市急病医療情報案内「あんしんホットダイヤル」は24時間年中無休で病院、診療所の案内、急な病気けがの相談に応じています。 ℡ 0120-241-596  です。

◎千葉県小児救急電話相談も利用可能です。相談には看護師が応じるほか、必要な場合には、小児科医に相談したり電話を転送します。但し相談のみですので受診が必要な場合にはアドバイスに従って受診していただくことになります。 受付日時 夜7時から翌朝8時まで。 ℡ #8000 です。携帯からは043-242-9939

3)受診する場合はまず公的な急病診療施設に受診されると良いと思います。   市川市内では市川市急病診療所(大洲)があります。  受付時間は 毎日夜8時から11時まで 休日は午前10時から午後5時も診療します。 毎日小児科担当医師が勤務する体制になっています。ただし急患専用の診療所のため受付時間を過ぎると医師は不在となりますので時間に余裕を持って受診するようにしてください。  連絡は ℡047-377-1222。なお 東京ベイ浦安市川医療センターは日祭日の急病診療所日中開所時間内は4歳未満の小児の受診はできなくなりましたのでご注意下さい。

その他隣接の市にも急病診療所があります。

○浦安市急病診療所 受付日、時間は市川と同じです。 ℡047-381-9999       

○松戸市夜間小児急病センタ-  毎日夜6時から11時   ℡047-360-8900

○船橋市夜間急病診療所(小児)夜9時から朝6時(土休日は夜6時から)℡ 047-424-2327   また「ちば救急医療ネット」というホ-ムペ-ジhttp://www.qq.pref.chiba.lg.jp/  で 千葉県内の急病診療施設の案内を見ることができます。

4)その他最近は市川市でも一般の診療所で休日、土曜午後の診療を行っているところがあります。普段から調べておかれるといざというときあわてなくてすむと思います。

5)深夜等で上記の施設が診療していない時間帯にどうしても受診御希望の場合は公立病院等の大きな病院に受診していただくことになります。但しそのような病院は主に各急病診療施設から転送されたり、救急車で受診されるような重症の患者さんが対象で、非常に多忙な状態が続いております。従って受診される前に必ず電話で連絡していただき、相談されてから受診していただくようにお願いします。電話でアドバイスを受けて受診せずにすむ例もあるようです。 東京ベイ浦安市川医療センター、東京歯科大学市川病院等は直接受診すると「初診時選定療養費」の支払いが必要になりました。市川市急病診療所から転送される場合は徴収されません。

6)ひきつけを起こして10分以上けいれんが止まらない、ひどい喘息発作で呼吸状態が悪い、 食事アレルギーでゼイゼイしたりぐったりしている等お子さんの状態が非常に悪い場合は遠慮なく119番に連絡して相談して下さい。救急隊によって搬送される場合は上記の病院に運ばれることになります。救急車には酸素吸入装置が必ず装備されているので呼吸状態が悪い場合には非常に有用です。最近は状態によってはドクターカーやドクターヘリも活用されるようになりました。

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2015年5月29日 (金)

溶連菌感染症について

【ヨウレンキンとは?】溶連菌とは溶血連鎖球菌の略語で、その中でもA群ベ-タ溶連菌というタイプが病原性が強い事が知られています。

【伝染】人から人に咳や唾液を通して感染します。麻疹や水痘等のウイルス性の病気ほど伝染力は強くないのですが、家族内や幼稚園、学校など接触が濃厚な所では容易に伝染します。感染してから早ければ1日以内に症状がでます

【症状】のどに菌がついて咽頭炎を起こす事が多いので咽頭炎について主に説明します。 高熱が出て、のどの痛みや頭痛を訴え、腹痛や吐き気を伴うこともあります。一般的なカゼとくらべてぐったりして重い病気の印象があります。咽頭が真っ赤にはれ 上あごの粘膜に特徴的な赤い斑点が出たり、舌に細かい赤いぶつぶつが出て苺のように見えたりします(苺舌といいます)。また猩紅熱(しょうこうねつ)といって、菌の毒素が悪さをして、下腹部など皮膚の柔らかいところを中心にに赤く細かいざらざらした発疹が出て、ひどい場合には全身に広がることもあります。

 その他のど以外では皮膚についてとびひ(通常はブドウ球菌によるものが多い)を起こしたり皮下組織や筋膜に重症の感染をおこすこともあるので要注意です。

【診断】症状や診察所見から典型的な例では容易に診断がつきますが乳幼児ではのどの所見がはっきりしない事もあります。のどの細菌を培養して検査すればどのような菌が原因になっているか診断できますが、結果が判明するまでに数日かかります。最近ではのどの粘液をとって検査してその場ですぐ溶連菌がいるどうか診断がつく迅速診断が広く行われており非常に有用です。

【治療】症状は強いのですがお薬が良く効くのが特徴です。ペニシリン系の抗生物質が一般的に使用されますが服用を始めて1~2日で熱も下がり、元気になることが多いようです。ただし、再発しやすいので最低10日から2週間はしっかりお薬を飲んでもらうことが必要です。お薬の飲み方が不十分だと再発したり合併症を起こしやすくなるので気をつけましょう。熱が下がって内服を続けていれば伝染性もないので、本人の具合が良ければ集団生活も可能です。学校の場合も学校伝染病になっていますので休んでも欠席扱いにはなりませんが、その場合症状がなくなった時点で診察を受けて治癒証明を書いてもらう事が必要です。しばらくは激しい運動は避けた方が良いでしょう。

【家庭内感染】患者さんから兄弟や両親に感染して同様の症状が出る事が良くあります。また、はっきりした症状がなくても溶連菌の検査をすると陽性に出ることもあります。

せっかく患者さんがお薬を飲んで治療しても他の御家族がそのまま菌を持っていてその菌をもらって再発することもあります。従って患者さんが1人出た場合は御家族全体の検査と治療の計画をしっかり立てることが必要だと思います。

【合併症】急性腎炎やリウマチ熱などいくつかの合併症がありますが最近は抗生物質による治療が確立しているためか、ごくまれになりました。急性腎炎は溶連菌感染後2~3週たって起きます。ひどければ体がむくんだりコ-ヒ-色の尿が出たりしますが、軽い場合ははっきりした症状が出ないで終わってしまうこともあり、あとで定期検診で血尿や蛋白尿が見つかることもあります。必ず感染後3~4週頃に一度尿検査を受けましょう。その時に咽頭に菌が残っていないかどうかも検査しておくと良いと思います。 

 また一度溶連菌にかかった方はまたかかりやすいので同様の症状があったら必ず受診し必要な場合は検査を受けるようにしましょう。

 

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アデノウイルス感染症について

アデノウイルスはお子さんを中心に様々な症状を示すウイルスですがあまり知られていないようです。たくさんの型がありそれによって起こす症状も様々です。簡単にまとめてみました。

【伝染性】患者さんののどや便、眼脂のウイルスがのど、鼻、結膜から侵入して感染をおこします。潜伏期間は5~7日程度です。主に乳幼児や学童に感染し、成人がかかる事は比較的少ないのですが、お子さんから親御さんにうつることも時々あります。

【症状】ウイルスの型によって様々な症状が出ますが主なものをあげてみます。 ○咽頭炎、扁桃炎: 最初から39℃以上の高い熱が出てぐったりします。のどが赤くなり次第に扁桃腺がはれて、白い膿のようなものがついてきます。  5日位高熱が続くことがあり、季節によってはインフルエンザではと心配される事もよくあります。 ○結膜炎を起こすこともよくあります。結膜が赤くなり目やにが出ます。  咽頭炎に伴って結膜炎を起こした場合は咽頭結膜熱といいます。夏プ-ルでうつることもあるのでプ-ル熱とも呼ばれています。 ○胃腸炎 下痢や嘔吐などの胃腸炎の症状を起こすこともよくあります。 その他まれですがアデノウイルス7型といって乳幼児に重症の肺炎を起こすものもあります。

【診断と治療】これまでは良い検査法がなかったのですが最近は咽頭、結膜や便を検査してその場で診断することもできるようになりました。ウイルスそのものに効くお薬はないのですぐ治療に役立つということはないのですが、他の病気の心配をする必要が無くなりますし、「あと2~3日で熱が下がるでしょう」と見通しが立てられますので非常に役に立つと思います。おかげで発熱の原因がわからずに入院になったりするケ-スも減りました。

【治療と自宅療法】ウイルスに直接効くお薬はありません。熱が高くてぐったりするときは解熱剤の飲み薬や坐薬をつかってあげましょう。合併症の予防で抗生物質の内服薬や点眼薬が処方されることもあります。  自宅で安静にするのが大事です。のどが痛くて食事がとれない場合もあると思いますが水分をこまめに充分与えて下さい。  結膜にウイルスがいてお顔をふくタオルからうつることもあるので患者さんのタオルは別にする等の注意が必要です。  咽頭結膜熱は第二種伝染病に指定されているので学校、幼稚園は休んでいただき症状が良くなって2日後から出席可能です。届けを出せば欠席扱いにはなりませんが登校する場合には治癒証明書が必要です。

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2014年8月13日 (水)

水痘ワクチンの公費化について

2014.10月から全国的に水痘ワクチンの公費接種がはじまりました。2回接種です。

○従来水痘ワクチンは1回の接種でしたが、免疫の付き方が不充分なためか、軽くはあっても感染してしまう例も多くありました。アメリカ等では2回の接種で水痘の発症が激減しました。水痘にかかると水痘ウイルスが神経に潜んでいて将来帯状疱疹を発症することもあります。日本でも今後2回接種にして日本から水痘をなくしていこうという考え方です。

○対象は生後12月~36のお子さんで、標準的な接種期間は1回目は生後12月~15月、2回目は初回接種後612カ月(最低3カ月あけて)です。

○どの年齢でも既に水痘にかかった方は接種する意味がないので対象外です。

 

 

 

 

 

 

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2014年7月30日 (水)

B型肝炎ワクチンについて

最近B型肝炎ワクチンの接種が小児に勧められるようになりました。Q&A方式でまとめてみましたので参考にして下さい。

1B型肝炎とはどんな病気ですか

 B型肝炎ウイルスによる感染症です。非常に感染力が強いウイルスで、B型肝炎を持った母親からお産の時に赤ちゃんに感染します(母子感染)。また父親や家族やお友達、ウイルスに汚染された血液の輸血や性行為などでの感染(水平感染)が知られています。しかし原因不明のこともよくあり、特に子どもの場合は原因不明のことが多いとされます。 肝炎になると疲れやすくなって黄疸(おうだん)が出ます。症状はごく軽い場合が多いのですがまれに急激に非常に重い症状になることがあります。劇症肝炎と呼ばれ、生命が危険になります。
 3歳以下の子どもが感染すると、キャリア(ウイルスを体内に保有した状態)になりやすく、キャリアになると慢性肝炎になることがあります。慢性肝炎になると長期にわたる治療を要し、最悪の場合、肝硬変や肝臓がんなどの命にかかわる病気を引き起こします。

最近は、3歳以上で感染しても慢性化(キャリア化)しやすい遺伝子型AというタイプのB型肝炎が日本でも広がっています。知らない間にキャリアになった家族などから子どもへの感染もめずらしくありません。

 

2予防法は?

B型肝炎ワクチン(不活化ワクチン)で予防します。B型肝炎を予防するということは、肝臓がんを予防することにもなります。B型肝炎は世界で初めてのがん予防ワクチンです。

接種法は4週間隔で2回、さらに2024週経ってから1回の合計3回接種です。    B型肝炎は母子感染や水平感染だけではなく、知らない間にかかることも多いので、  WHO(世界保健機関)では、世界中の子どもたちに対して生まれたらすぐに国の定期接種として接種するように指示しています。日本でも将来的には公費の定期接種になると思われますが、現在のところ自費接種で一回4000円程度です。

当院でも接種を行っていますのでお問い合わせ下さい。

 

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2013年6月18日 (火)

子宮頚癌ワクチンに関する緊急のお知らせ

子宮頚癌を起こすパピローマウイルスの予防ワクチンを接種した方の一部で、痛みが長く続くという副反応がありました。厚生労働省としては詳しい調査をして実態がはっきりするまで、接種を積極的に勧めることを差し控えるという方針を614日に発表しました。接種の主体である市町村もこの方針に従って対象者に周知することになります。但し接種を中止するものではなく希望者は従来通り接種を受けられます。心配な方は調査結果を待って接種しても良いかもしれません。今後の方針が詳しく発表されれば報告します。

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2013年4月25日 (木)

胃がんリスク検診について

4月から市川市胃がんリスク検診が始まります。40才から5才おきに75才までの方が対象で対象者には受診券が送付されてきます。まず血液検査で血清ヘリコバクターピロリ抗体価でピロリ菌の感染があるか調べ、血清ペプシノーゲンⅠ、Ⅱの値で胃の粘膜の萎縮があるかどうかが推定します。ピロリ菌に感染していて粘膜に萎縮がある方は胃がんになりやすい事がわかっていますので危険度に応じて4群に分けて胃カメラ検査を毎年~3年に一回お勧めすることになります。詳しくは市川市保健センター047-377-4511にお問い合わせください。

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2013年4月 6日 (土)

風疹について(成人の風疹ワクチン接種も含めて) 

Q:風疹とはどんな病気ですか?

A:風疹は風疹ウイルスが咳などで飛んで気道から伝染します。潜伏期間は2~3週です。症状は熱が出て1~2日してから 淡い紅色の小さい発疹が顔、頚から出始めて全身に広がります。また頚部、耳の後、後頭部のリンパ節が腫れます。34日で熱も下がり発疹も消えていきます。熱は38℃程度でほとんど熱の出ないこともあります。一般に予後良好ですがまれに関節炎、脳炎、血小板減少性紫斑病などの合併症が年齢にかかわらず起き、成人の方が関節炎を起こしやすいようです。

Q:比較的軽い病気のようですがなぜ流行が問題になるのですか?

A:かかっても患者さん自身はそれほど心配な病気ではないのですが、最も問題になるのが先天性風疹症候群です。妊娠早期(14か月)の妊婦さんが風疹ウイルスに感染すると胎盤から胎児に感染し,生まれてくる赤ちゃんに難聴,白内障,心臓病などの先天異常が起こります。その発生率は妊娠3か月以内の風疹感染で20%にもなります。平成26年から平成29年にかけては、各々年間319例、163例、129例、93例の報告がありました。

Q:最近の流行で成人男子(おじさん世代)が多いのはなぜですか?

A:平成242日以降に生まれた人は2回、公費でワクチンを受ける機会がありましたが、昭和54年度から平成元年度に生まれた男性は受けていても1回です。そして、昭和5441日以前に生まれた男性は1回もその機会がなく、十分な免疫を持たない人達が蓄積していたものと考えられています。

Q:では対策としてどうすれば良いのでしょうか?

A:ワクチン(麻疹風疹混合ワクチン)を接種することによって、95%以上の人が風疹ウイルスに対する免疫を獲得することができると言われています。

Q:最近国の施策で風疹の追加的対策が始まりましたが具体的にはどんな内容ですか?

A:抗体保有率の低い世代の昭和37 年4月2日から昭和54 年4月1日生まれの男性に2022 年3月末までの3 年間に限り、風疹の抗体検査・予防接種を公費で受けられるようにし、この世代の抗体保有率を90%以上にすることを目指しています。但しワクチンを効率的に活用するため、まずは抗体検査をして十分な量の抗体がない方が、予防接種法に基づく定期接種の対象になります。

 

最近流行している風疹はお子さんだけでなくお母さんにも問題となる病気です

 

 

【伝染】風疹は風疹ウイルスが咳などで飛んで気道からうつります。潜伏期間は13週です。最近全国的に成人男性を中心に流行が広がり問題になっています。

 

 

【症状】熱が出て12日してから 淡い紅色の小さい発疹が顔、頚から出始めて全身に広がります。また頚部、耳の後、後頭部のリンパ節が腫れます。34日で熱も下がり発疹も消えていきます。熱は38℃程度で、ほとんど熱の出ないこともあります。

 

 

一般に予後良好ですがまれに関節炎、脳炎、血小板減少性紫斑病などの合併症があります。

 

 

診断は流行期には比較的容易ですが、もともと比較的軽い病気のため診断が難しい場合もあり、確実に診断するためには回復後の抗体検査が必要です。

 

 

【治療】自然に治る病気ですので特別な治療はいりません。但し伝染力はあるのでお家で静かにして経過を見ましょう。発疹が消失するまでは登園、登校は停止です。

 

 

【先天性風疹症候群】

 

 

 妊娠早期(14か月)の妊婦さんが風疹ウイルスに感染すると、胎盤から胎児に感染し生まれてくる赤ちゃんに難聴、白内障、心臓病などの先天異常が起こります。その発生率は妊娠3か月以内の風疹感染で20%にもなります。

 

 

【予防】風疹はワクチンを接種することによりほとんど予防可能です。風疹ワクチンは、副反応の少ない非常に安全なワクチンの一つです。

 

 

お子さん:ワクチン接種がお子さん自身の将来にわたる予防になりますし、妊婦さんの周囲にいる幼児の風疹をワクチンにより防ぐことが,妊婦の風疹感染を防止することにつながります。

 

 

麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)を使用して第1期と第2期の2回接種します。

 

 

   お子さんは公費で無料で接種できます。

 

 

第1期 1才~2才未満   1才になったら早めに接種を受けておきましょう。

 

 

   第2期  小学校入学1年前の41日から入学前の331日まで

 

 

成人女性:妊娠する可能性がある女性は必ず抗体検査を受け、陰性の場合には予防接種を受けておきましょう。接種後は2~3か月間避妊する必要があります。ただし妊娠が判明してからは予防接種をすることはできませんので、抗体陰性の妊婦さんは風疹患者との接触を避けなければいけません。万一風疹感染が疑われたときは必ず血清診断を行う必要がありますので産科の先生と充分御相談下さい。また抗体の低い方は次の妊娠時の危険をなくすため出産直後にワクチン接種をしておくことをお勧めします。

 

 

成人男性:最近流行が問題になっている30代から50代前半の男性は当時の予防接種制度では接種を受けていない方が多く、風疹の免疫を持っていない方が多いようです。これまで風疹の予防接種をうけたことがない方で、特に妊娠している方が身近にいる場合はなるべく早く予防接種をうけることをお勧めします。接種をうけた方から妊婦さんに風疹ワクチンのウイルスがうつる可能性はありません。またこれまで予防接種を受けていたとしても、または風疹にかかっていたとしても、再度予防接種をうけることによる特別な副反応がおこることはありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2012年11月30日 (金)

ウイルス性胃腸炎

毎年冬になると胃腸炎の症状で受診される患者さんが増加します。そのほとんどがウイルス性胃腸炎(要するにおなかにくるカゼ)です。症状と治療についてまとめてみました。

【病原体と症状】胃腸炎を起こすウイルスには多くの種類がありますが、ノロウイルス、ロタウイルスなどは冬に流行します。伝染力も強く、便に排出されて手について感染したり、唾液が飛んでうつることもあります。感染してから1~2日と短期で発病します。いずれも吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、発熱等の症状を起こしますが症状だけから原因ウイルスを診断することは困難です。

 ノロウイルスは成人にもよく感染します。吐き気と上腹部痛が強いのが特徴です。保育園などでお子さんが感染して御両親にうつって一家全滅というケ-スもよくあります。また生ガキなどについていて集団食中毒の形で発生することもあり、老人ホ-ム等で集団感染することもあります。少量のウイルスでも感染するので吐物や下痢便を処理した後は充分手洗いしましょう。

 ロタウイルスは、白い下痢便が頻回に出ることが多く、白色便性下痢症とも呼ばれています。乳幼児に感染する事が多く保育園などで集団感染し、症状も重症化する事が多いのですが、最近は軽症化する傾向があるように思います。必要な場合には便を検査して診断することもできます。

  なお、細菌性の食中毒は冬期には少ないのですが高熱が続いたり、便に血液が混じったりする場合はその可能性もあり検査を受ける必要もあります。(くわしくは当シリ-ズの「食中毒について」を御覧下さい)

【自宅療養の注意点】まず脱水状態にならないように水分の補給が大事です。大人の方で水分を飲むと吐き気や下痢をするというので水分を飲むのをがまんする方がいますが、非常に危険です。湯冷ましや番茶、スポーツ飲料(冷やしていないもの、お子さんの場合はお子さん向きのものか大人用を湯冷ましでうすめて)等を少量ずつ頻回に取るようにしましょう。ジュースや牛乳などはお子さんが欲しがっても吐きやすいので避けましょう。

 吐き気止めのお薬(坐薬か飲み薬)を処方された場合、使って2030分してから水分を少量ずつ飲んでみて下さい。少量ずつでも飲めれば良いと思います。

 食事がとれないことを心配される方がいますが、人間の体にはエネルギ-の蓄えがありますから水分さえとれていれば急いで食べる必要はありません。無理に食べると嘔吐、下痢の症状が長引くこともあります。お子さんの場合も吐き気がすっかり落ち着くまでは、欲しがっても少しがまんさせた方が良いでしょう。おなかが空くときはあめ玉をなめてもいいと思います。吐き気やひどい下痢が落ち着いたらおかゆ、うどんなどの消化の良いものを少量ずつ取って下さい。

 赤ちゃんの場合、母乳はそのまま与えてもかまいません。ミルクは、下痢がひどい場合は半分位に薄めた方が良いと思います。赤ちゃん用のスポ-ツ飲料も良いと思います。

ミルクの中の乳糖の消化が悪くなって下痢が長引くこともあり、乳糖の消化を良くするお薬を処方しますのでミルクに混ぜて与えて下さい。離乳食は一旦お休みにして症状が良くなってからおかゆなど消化の良いものから再開しましょう。

  家族の中でどなたか症状が出た場合他の方にも短期間でうつる可能性がありますので、手洗いに気を付け、消化の悪いものを食べないなど注意しておきましょう。

【受診のタイミング】吐き気が続いて水分が取れない時、さらに下痢も合併しているときは特にお子さんでは脱水状態になりやすいので早めに受診して下さい。口の中が乾いたり、涙の出が悪くなったり、尿の出が悪くなったり、ぐったりして元気がなくなったりするのは脱水のサインですから要注意です。必要な場合には点滴で水分を補充する必要があり、重症の場合には入院して続けて点滴をする必要もでてきます。

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2012年9月14日 (金)

ワクチンのおすすめ(26年7月改訂)

ワクチンのおすすめを改訂しました。(26.7月)

最近多くの新しいワクチンが開発され接種可能になりました。お子さん達の病気の予防に大きな進歩ですが、ワクチンの種類も多く接種時期、間隔もまちまちですので親御さんも接種予定を考えるのが大変だと思います。様々なスケジュールが考えられますが絶対的なものはなく、接種可能な期間内に必要な接種を終えれば良いと考えて下さい。市川市の予防接種手帳(黄色い冊子)にも注意が書いてありますのでまずお読み下さい。ワクチンには公費で接種できるものと自費で接種するものがあります。最近は幸いほとんどのものが公費で接種可能になりました。但し公費のものは接種期間が法律で決まっているので時期を逃すと自費になってしまいますので注意が必要です。またワクチンには生ワクチン不活化ワクチンの2種類あり、生ワクチンの場合は4週間以上あけて、不活化ワクチンは1週間以上あけて他のワクチンができます。

以下接種時期に分けて簡単に説明します。は生ワクチン、は不活化ワクチンです。

1才まで》

2ヶ月から接種が可能

ヒブワクチン(インフルエンザ杆菌)プレベナー(小児用肺炎球菌ワクチン)

どちらも乳幼児で心配な細菌性髄膜炎の菌のワクチンで標準的には4週間隔で3回接種し、1才過ぎで1回追加接種します。早い時期の接種が望まれます。

ロタウイルスワクチン(自費)胃腸炎を起こすロタウイルスのワクチンで口から飲むワクチンです。23回服用します。生後15週未満に接種を開始する必要があります。

3ヶ月から接種が可能

4種混合(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ)1期 百日咳が流行している地域もあるので早めの接種が必要で、3(8)週間間隔に3回接種します。

BCG 5~8カ月がお勧めの時期です。1才になるまで可能です。            以上2ヶ月から6ヶ月頃の時期は接種するワクチンが10個以上になります。最近はワクチン2種類以上を同時に接種することも可能になりました。個別に接種すると来院回数が多く日程の調整が難しくなりますが、2つのワクチンを同時に接種することによって来院回数を減らすことが可能です。スケジュール表に計画の例を書いてお渡ししますので母子手帳と一緒に保管しワクチン接種時必ず持参してください。

《1才 から》  麻疹風疹混合ワクチン(1回目)麻疹(はしか)は実際にかかると大変なので1才3ヶ月までに受けましょう。2才すぎると自費になってしまいます。プレベナー、ヒブの追加接種と同時接種も可能です。

おたふくかぜ 市川市は少額の自己負担で可能です。1才過ぎに券を送ってきます。(期限:7才半まで)難聴などの合併症もある病気なので必ず接種しましょう。

水痘 26年10月から接種が公費化 されます。 2回接種です。

対象年齢は生後12月~36 月で標準的な接種期間は1回目は生後12月~15月、2回は初回接種後612カ月(最低3カ月)です。経過措置としてこれまで接種していない方生後36月~60月の方は1回のみ今年度限り接種できます。任意接種として一回接種した方も、3才以下ならもう一回できます。

 

《1才6ヶ月 から》   4種混合 1期追加(1期終了の1218ヶ月後)

3才から》 日本脳炎1期 14週間隔で2回接種し1年後に追加接種します。 

《小学校入学前の1年間》 麻疹風疹混合ワクチン2回目 期間限定のため期限を逃さないようにしましょう

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2011年6月 2日 (木)

日本脳炎ワクチン接種年令の拡大について

これまで日本脳炎は1期(37.5才)に14週おきに2回接種しほぼ1年後に追加接種を行い、2期(913才)に1回接種することになっていました。従来のワクチンに副作用があるのではないかと問題になり平成175月から一時積極的勧奨(お勧めすること)を中止していました。21年から新型のワクチンが使用可能になり積極的勧奨を再開しましたので上記対象年令の方は接種を受けるようお勧めします。

接種中止の間に接種を逃した方も多く、再開に伴い救済処置が望まれていましたが、229月から一部の年令(913才)で救済措置がはじまりました。

今回236月からは7.5才~9才未満の方、13才以上の方(平成7年6月1日以降に生まれた方:236月現在では16才以下の方のみ)も接種が公費で受けられるようになりました。要するに現在3才から16才の方すべてで接種が可能ということです。接種がもれていた方は接種をお勧めします。接種券は以前のものが使用可能で、お手元になければ市に請求してください。接種間隔があいてしまった方もいると思いますが今後の接種計画に関しては様々な柔軟な対応が可能ですので接種する時にご相談下さい。

接種可能年令の延長に伴い今後13才以上の方に限り保護者の同伴なしでも接種可能となりましたが、専用の予診票が必要なためご希望の方は市に請求して下さい。

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2010年9月 8日 (水)

ヒブワクチンについて

22年10月後半から多くの方がヒブワクチンを接種できるようになります。当院でも接種可能です。ヒブワクチンについて簡単にまとめてみました。

1)ヒブって何のことですか?

A)ヒブというのは乳幼児がかかる細菌性髄膜炎の原因菌であるインフルエンザ菌b型の略称です。細菌性髄膜炎は手遅れになると死亡したりさまざまな後遺症が残る可能性が高い病気です。日本では年間約1000人近くの子どもたちが細菌性髄膜炎にかかっていると推定されており、そのうち5%近くが死亡、約20%がさまざまな後遺症に苦しんでいます。この髄膜炎のかなりの部分がヒブによっておこっています。

またヒブは急速に呼吸困難を起こして危険な状態になる急性喉頭蓋炎や難治性の中耳炎の原因菌でもあります。最近では抗生物質に対する耐性化が進んでおり、これまで以上に治療が難しくなっています。

2)ヒブに対するワクチンがヒブワクチンなのですね。予防効果はあるのですか?

A)ヒブワクチンは海外で20年以上前より使われ始め、現在では100カ国以上の国で使われています。アメリカではヒブワクチンが導入された後は、ヒブ髄膜炎の頻度が導入前の1%まで減少しており高い有効性が実証されました。すでに全世界で1億5000万本以上の接種実績があり、日本でも昨年ようやく認可されて接種が可能になりました。

なお肺炎球菌も髄膜炎の原因になる菌で、最近予防のワクチン(プレベナー)が接種可能になりましたがヒブワクチンとは別のものです。

3)ワクチン接種の副作用はありますか?

A)接種部位が赤くなったり、腫れやしこりが見られる方あり、50人に1人程度熱が出る方がいるようですが、特に他のワクチンに比べて心配な副反応はないようです。

4)どういうスケジュールで接種を受ければいいですか?

A)乳児の細菌性髄膜炎の予防に有効なので、できれば乳児期早期にやる必要があります。

乳児期は他にも受けるワクチンが多くて大変ですが、三種混合や肺炎球菌ワクチンと同時に接種することも可能ですのでうまくまとめて接種すれば受診の回数は少なくすみます。

接種を始める時期によって以下のようにスケジュールが違います。

○2ヶ月から7ヶ月のお子さん  4()週から8週の間隔で3回接種  1年後に追加○7ヶ月以上のお子さん     4()週から8週の間隔で2回接種  1年後に追加

○1才以上     1回のみ

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2010年8月 2日 (月)

感染症シリーズ 手足口病とヘルパンギーナ

 どちらも初夏から夏を中心に流行する夏風邪の一種で、腸の中で増えるエンテロウイルスという種類のウイルスによって起きる病気です。

 エンテロウイルスにはコクサッキ-ウイルスなどたくさんの種類がありますが、どちらの病気もそれぞれいくつかのウイルスが原因になって起きることがわかっています。

【伝染】患者さんの唾液や便を通してウイルスが感染し、感染して5日位で発病します。どちらも伝染力が強く、集団のなかでどんどん広がることがあります。但し、感染しても症状がでないで気づかないうちに治ってしまう場合も多いようです。

【症状】

◎手足口病:文字通り手の平や甲、足の裏や甲、舌や口の粘膜に水疱疹ができます。また膝、肘、お尻にも盛り上がったブツブツができることがあります。手足の発疹は痛みはほとんどありませんが、舌や口の水疱は破けてビランになり強い痛みを訴えることもあります。熱は病初期に微熱が出る事が多いのですがまれに高熱が出ることもあります。これらの症状は1週間程度で回復します。

◎ヘルパンギ-ナ:急に38℃~40℃の高い熱が出るのが特徴です。熱が高くなるため

ひきつけの体質のある方ではひきつけを起こすこともあります。のどの奥をよく見ると

口蓋垂(いわゆるノドチンコ)の両側に小さい水疱疹を認め、やはり強い痛みを訴えます。熱が高いわりには早ければ1~2日で解熱するのが特徴です。

【治療と自宅療法】どちらもウイルスによる病気で自然に治るので、抗生物質は無効であり、特別な薬はありません。お熱が高くてぐったりしたときには解熱剤を使用しても良いと思います。手足口病の場合は舌などのビランの痛みが強いときは外用薬を塗って少し痛みが軽くなる事もあります。 

 口の中が痛い時はからいもの、硬いもの、酸っぱいもの、熱いものは避けて口当たりが良くかまずに食べられるもの(ゼリ-など)を与えましょう。食事ができなくても水分が取れれば数日間は心配ありません。水分もジュ-ス等すっぱいものは避けましょう。

【合併症について】通常は合併症なくなおりますが、ごくまれに手足口病で髄膜炎や脳炎を合併するという報告があります。今年(平成22年)の手足口病はエンテロウイルス71型というタイプが多く髄膜炎や脳炎を起こしやすいといわれています。頻度からしてもあまり心配する必要はないと思いますが、嘔吐が続いたり意識がぼんやりしたり心配な症状があれば早めに再診して下さい。

【隔離について】具合の悪い間は保育園や幼稚園、学校はお休みしましょう。体調が回復するまではスイミングなどの運動も避けた方が良いと思います。

 症状がなくなった後も便の中にはかなり長期間ウイルスが排泄されるようです。従って症状があるときだけ隔離しても現実にはあまり意味がないという事になり、本人の体調が許せば保育園なども登園可能という所が多いようですが、それぞれの方針があると思いますのでお問い合わせ下さい。

 但し生まれたばかりの赤ちゃんにうつると心配ですので接触しないようにしましょう。

【免疫について】1つの型のウイルスについては一度感染すると免疫ができて二度かかることはありませんが、どちらの病気も原因のウイルスは数種類あるため2~3回かかることがあります。大人は免疫を持っている方が多いのでまれにしかかかりませんが、かかると症状が重くなることもあります。

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2010年7月27日 (火)

小児用肺炎球菌ワクチンについて

:肺炎球菌とはどんな菌ですか?

:肺炎球菌は文字どおり、肺炎の原因になる細菌です。この菌は実はどこにでもいる菌で、子どもの多くが鼻の奥や気道に保菌しています。保菌しているだけでは問題ありませんが、小さな子どもは肺炎球菌に対する抵抗力をもっていませんので、比較的簡単に肺炎球菌に感染してしまいます。カゼをひくと中耳炎になるのはカゼによって粘膜の抵抗力が落ちると、耳で感染症をおこすためです。このように、肺炎球菌は、耳で感染症をおこすと「中耳炎」に、肺に入りこんで「肺炎」に、血の中に入りこんで「菌血症」に、脳や脊髄を覆っている髄膜の中に入りこんで「細菌性髄膜炎」を発症します。

:感染の予防はできますか?

:肺炎球菌による感染症にかかりやすいのは、小さな子どもやお年寄りです。高齢者に対する肺炎球菌ワクチンは従来から使用されていました。肺炎球菌にも多くの型がありますがこのうち小児で主に感染をおこす7つの型の菌に対する免疫を作るワクチンが開発されました。このワクチンを接種すると、一番この病気にかかりやすい年齢の間、肺炎球菌からお子さんを守ってあげることができます。子ども用の肺炎球菌ワクチンは2009年時点で100カ国近くで使われていて、定期接種をしている国では細菌性髄膜炎などの重い感染症の発症率が98%下がりました。平成22年から日本でもプレベナーという商品名でワクチンが認可され接種可能になりました。

:どういうスケジュールで接種するのですか?

:標準は 26カ月で開始し27日間以上の間隔で3回(初回免疫)、

1215カ月の間に1回(追加免疫)接種します。合計4回の接種です。

この時期に接種を開始できなかった方は開始する年令により通常以下のスケジュールで接種します。

開始時期

711ヶ月:初回免疫を2回、27日以上の間隔で接種したのち、60日間以上あけて追加接種を1才過ぎに1回接種します。

1才:60日間以上の間隔で2回接種

2才~9才:1回接種 

となっています。このように接種時期の設定が複雑ですのでかかりつけの先生とよく相談して接種してください。

:接種の副作用が心配ですが

:接種した後に熱が出たり接種した部分が腫れたりすることがありますが、頻度は他のワクチンと比べてそれ程高くないようです。2007年に、WHO(世界保健機関)は子ども用の肺炎球菌ワクチンを世界中で定期接種とするように推奨を出しました。

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2006年9月 7日 (木)

感染症シリ-ズ:おたふくかぜ

最近おたふくかぜが流行しているので、まとめてみました。 

【伝染】ウイルスによって起きる病気で冬,春に多いようですが年間を通じて発生します。患者さんの唾液などによってうつり、2~3週間で発病します。水ぼうそうやはしかに比べると伝染力は弱いようです。

【症状】耳の下部にある耳下腺がはれます。初期に発熱する事が多いですが熱が出ないこともあります。耳下腺のはれは片側からはじまり両側がはれることが多いのですが片側だけで終わることもあります。かたいものやすっぱいものを食べたときに痛みが強くなるのも特徴です。耳下腺以外にも顎の下の顎下腺もはれる事がよくあります。1週間位で耳下腺のはれは良くなります。3~5才でかかる方が最も多く、年齢の小さい方は感染しても症状が出ないで終わることがあります。大人がかかるとはれもひどく高熱が続き、かなりつらい思いをすることになります

【合併症】合併症としては髄膜炎,脳炎,難聴、膵炎,睾丸炎等があります.髄膜炎,脳炎は小児に多い合併症で,一度症状がよくなってから再び熱が出たり頭痛や吐き気を訴えたりします。ほとんどが自然に治りますが、まれにムンプス難聴と呼ばれる片側の難聴を残すことがあるので要注意です。思春期以降の年長児や大人がかかると男性の場合2~3割の方で睾丸炎がみられ、睾丸がはれて痛みが出ます。通常は片側だけですので,後遺症としての不妊症になる頻度は低いようですがこれも要注意です。

【診断】通常は症状から診断できますが、軽症の場合や初期の場合は診断が難しい場合もあります。リンパ節炎などいくつかまぎらわしい病気があり、耳の下がはれたから必ずしもおたふくかぜとは限りません。尿を調べて尿の中のアミラ-ゼという酵素が上昇していると診断の助けになります。但し耳下腺がはれた場合でも反復性耳下腺炎といって片側の耳下腺がはれてすぐにおさまるという事を繰り返す病気もあります。

本当におたふくかぜにかかると免疫ができ、2回かかることはまずありません。何回もおたふくかぜにかかったとおっしゃる方がいますが実際にはあり得ないと思われます。片側しかはれなかったから再びもう一方にかかるということもありません。どうしても診断がつかなかったときは後で血液を検査して抗体を調べるとはっきりします。

【治療と自宅での注意点】特別な治療法はなく、痛みや熱が強いときは鎮痛解熱薬を投与します。かたいものやすっぱいものなど唾液を出すものを食べると痛みが強くなるのでプリン、ゼリー、お粥、豆腐など口当たりの良いものを与えると良いでしょう。

 一度下がった熱がまた高くなったり頭を痛がったりする時には髄膜炎,脳炎を併発した可能性があるので早めに再診して下さい。また男の子の場合恥ずかしがって睾丸がはれても云わないことがあるので気をつけてあげて下さい。

 耳下腺のはれが消失するまでは伝染力があるので保育園・幼稚園・学校などは休ませてください。学校を休んでも後で証明書を出せば、欠席扱いにはなりません。

【予防】ワクチンの接種が最も有効です。現在のワクチンは副作用が非常に少ないものになっています。市川市では2才以上のお子さんに一部負担だけで接種ができます。ただし患者さんと接触してからワクチンを接種しても予防はできません。

また成人の方で小児期にかかっていない方は是非ワクチンを受けておいていただきたいと思います。かかったかどうかはっきりしない方は抗体検査をすればはっきりします。以前にかかっていてワクチンを受けたとしても免疫が強くなるだけで問題はありません。

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2006年7月31日 (月)

海外旅行時の注意

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海外旅行をされる場合の一般的な注意をまとめてみました。ごく一般的な観光地が対象ですのでマラリア流行地等特殊な地域は別途お問い合わせ下さい。
(厚生労働省検疫所ホ-ムペ-ジhttp://www.forth.go.jp )

飛行機で:機内では気圧が低く高度2000メ-トルと同じ気圧しかありません。心臓や肺に持病がある方は要注意ですのでかかりつけの先生に御相談下さい。またスキュ-バダイビングをして24時間以内に飛行機に乗ると潜水病を発症する可能性があるので気をつけましょう。アルコ-ルの廻りも早くなりますのでアルコ-ルは控えめにしましょう。
 湿度もかなり低く、脱水状態になりやすい状況です。足に静脈瘤のある方など危険因子のある方は旅行者血栓症(いわゆるエコノミ-クラス症候群)をおこしやすくなります。水分を十分とり、座り放しにせず体を適当に動かしましょう。
 離着陸の気圧の変化が耳へ影響するのを避けるために大人はガムをかむ、赤ちゃんはおしゃぶりをしゃぶるなどされると良いでしょう。

食中毒の予防:衛生状態が良くない国への海外旅行でお腹をこわす方は非常に多いようです。生水は要注意です。当然生水から作った氷も危険です。殺菌されていないミルク、アイスクリ-ム、瓶詰めではない飲み物、加熱していない食物(カットしたフル-ツ、
生野菜)なども心配です。旅行全体を不愉快なものにしないためにも心配なものを食べるのはがまんしましょう。
 ワイン、ビール、熱い紅茶とコーヒー、瓶やその他の容器に詰められた炭酸飲料と果物ジュースなどの飲み物、皮をむいたり殻から取り出して食べる果物(バナナ等)や野菜はたいてい安全だと思われます。

防蚊対策:蚊がいる地域ではマラリア以外にもデング熱や日本脳炎など蚊に刺されてかかる病気があります。肌の露出は控え虫除け剤等も用意しましょう。

気候の変化:日本と旅行先の寒暖の差で体調をくずされる方も多いようですが、むしろ暑い国に行ってホテル等の空調がきつくて風邪をひかれる方を見受けます。
暑い国に行かれる場合も必ず羽織る物などを用意していきましょう。

持参薬:高血圧などでふだんお薬を内服されている方は充分量を持参しましょう。紛失を防ぐため手荷物にしたり2カ所に分けておくと安心です。
 特にお子様連れの場合など常備薬として解熱剤、整腸剤+下痢止め、吐き気止め等持参されると安心だと思いますのでかかりつけの先生に御相談下さい。

医療保険:海外で医療機関を受診すると自費診療では非常に高額になることがありますので、海外旅行医療傷害保険に加入されておくことをお勧めします。

帰国後:幸い現在のところSARSの流行は無いようですが、他にも様々の伝染性疾患がありますので、旅行中から発熱、下痢などの症状が出た方は帰国時検疫所で必ず申請して下さい。
帰国後に症状が出た場合も旅行されていた事を必ず告げて受診して下さい。

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2006年5月10日 (水)

便利なリンク集

便利なリンク集です。参考にして下さい。

☆栗原皮フ科クリニック:http://hw001.gate01.com/kuri-drmclinic

☆まさき整形外科:http://www.masaki-seikei.com

☆いいだ眼科:http://www.iida-ganka.com

☆妙典メディカルビル:http://homepage2.nifty.com/medicalbuilding/

市川市急病診療所:http://www.city.ichikawa.chiba.jp/net/hoken/suisin/kyub1.htm

日祭日の昼だけでなく夜(8時~11時)および土曜日の夜も小児科担当医が配置される体制になっていますのでお問い合わせください。

ポリオの接種の日程と会場http://www.city.ichikawa.chiba.jp/net/hoken/suisin/porio.htm

今年も9月10月の秋のポリオの接種があります。

     花粉情報http://weather.goo.ne.jp/pollen/r003.html

外出時等参考になさって下さい。

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