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2010年7月27日 (火)

小児用肺炎球菌ワクチンについて

:肺炎球菌とはどんな菌ですか?

:肺炎球菌は文字どおり、肺炎の原因になる細菌です。この菌は実はどこにでもいる菌で、子どもの多くが鼻の奥や気道に保菌しています。保菌しているだけでは問題ありませんが、小さな子どもは肺炎球菌に対する抵抗力をもっていませんので、比較的簡単に肺炎球菌に感染してしまいます。カゼをひくと中耳炎になるのはカゼによって粘膜の抵抗力が落ちると、耳で感染症をおこすためです。このように、肺炎球菌は、耳で感染症をおこすと「中耳炎」に、肺に入りこんで「肺炎」に、血の中に入りこんで「菌血症」に、脳や脊髄を覆っている髄膜の中に入りこんで「細菌性髄膜炎」を発症します。

:感染の予防はできますか?

:肺炎球菌による感染症にかかりやすいのは、小さな子どもやお年寄りです。高齢者に対する肺炎球菌ワクチンは従来から使用されていました。肺炎球菌にも多くの型がありますがこのうち小児で主に感染をおこす7つの型の菌に対する免疫を作るワクチンが開発されました。このワクチンを接種すると、一番この病気にかかりやすい年齢の間、肺炎球菌からお子さんを守ってあげることができます。子ども用の肺炎球菌ワクチンは2009年時点で100カ国近くで使われていて、定期接種をしている国では細菌性髄膜炎などの重い感染症の発症率が98%下がりました。平成22年から日本でもプレベナーという商品名でワクチンが認可され接種可能になりました。

:どういうスケジュールで接種するのですか?

:標準は 26カ月で開始し27日間以上の間隔で3回(初回免疫)、

1215カ月の間に1回(追加免疫)接種します。合計4回の接種です。

この時期に接種を開始できなかった方は開始する年令により通常以下のスケジュールで接種します。

開始時期

711ヶ月:初回免疫を2回、27日以上の間隔で接種したのち、60日間以上あけて追加接種を1才過ぎに1回接種します。

1才:60日間以上の間隔で2回接種

2才~9才:1回接種 

となっています。このように接種時期の設定が複雑ですのでかかりつけの先生とよく相談して接種してください。

:接種の副作用が心配ですが

:接種した後に熱が出たり接種した部分が腫れたりすることがありますが、頻度は他のワクチンと比べてそれ程高くないようです。2007年に、WHO(世界保健機関)は子ども用の肺炎球菌ワクチンを世界中で定期接種とするように推奨を出しました。

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