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2012年11月30日 (金)

ウイルス性胃腸炎

毎年冬になると胃腸炎の症状で受診される患者さんが増加します。そのほとんどがウイルス性胃腸炎(要するにおなかにくるカゼ)です。症状と治療についてまとめてみました。

【病原体と症状】胃腸炎を起こすウイルスには多くの種類がありますが、ノロウイルス、ロタウイルスなどは冬に流行します。伝染力も強く、便に排出されて手について感染したり、唾液が飛んでうつることもあります。感染してから1~2日と短期で発病します。いずれも吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、発熱等の症状を起こしますが症状だけから原因ウイルスを診断することは困難です。

 ノロウイルスは成人にもよく感染します。吐き気と上腹部痛が強いのが特徴です。保育園などでお子さんが感染して御両親にうつって一家全滅というケ-スもよくあります。また生ガキなどについていて集団食中毒の形で発生することもあり、老人ホ-ム等で集団感染することもあります。少量のウイルスでも感染するので吐物や下痢便を処理した後は充分手洗いしましょう。

 ロタウイルスは、白い下痢便が頻回に出ることが多く、白色便性下痢症とも呼ばれています。乳幼児に感染する事が多く保育園などで集団感染し、症状も重症化する事が多いのですが、最近は軽症化する傾向があるように思います。必要な場合には便を検査して診断することもできます。

  なお、細菌性の食中毒は冬期には少ないのですが高熱が続いたり、便に血液が混じったりする場合はその可能性もあり検査を受ける必要もあります。(くわしくは当シリ-ズの「食中毒について」を御覧下さい)

【自宅療養の注意点】まず脱水状態にならないように水分の補給が大事です。大人の方で水分を飲むと吐き気や下痢をするというので水分を飲むのをがまんする方がいますが、非常に危険です。湯冷ましや番茶、スポーツ飲料(冷やしていないもの、お子さんの場合はお子さん向きのものか大人用を湯冷ましでうすめて)等を少量ずつ頻回に取るようにしましょう。ジュースや牛乳などはお子さんが欲しがっても吐きやすいので避けましょう。

 吐き気止めのお薬(坐薬か飲み薬)を処方された場合、使って2030分してから水分を少量ずつ飲んでみて下さい。少量ずつでも飲めれば良いと思います。

 食事がとれないことを心配される方がいますが、人間の体にはエネルギ-の蓄えがありますから水分さえとれていれば急いで食べる必要はありません。無理に食べると嘔吐、下痢の症状が長引くこともあります。お子さんの場合も吐き気がすっかり落ち着くまでは、欲しがっても少しがまんさせた方が良いでしょう。おなかが空くときはあめ玉をなめてもいいと思います。吐き気やひどい下痢が落ち着いたらおかゆ、うどんなどの消化の良いものを少量ずつ取って下さい。

 赤ちゃんの場合、母乳はそのまま与えてもかまいません。ミルクは、下痢がひどい場合は半分位に薄めた方が良いと思います。赤ちゃん用のスポ-ツ飲料も良いと思います。

ミルクの中の乳糖の消化が悪くなって下痢が長引くこともあり、乳糖の消化を良くするお薬を処方しますのでミルクに混ぜて与えて下さい。離乳食は一旦お休みにして症状が良くなってからおかゆなど消化の良いものから再開しましょう。

  家族の中でどなたか症状が出た場合他の方にも短期間でうつる可能性がありますので、手洗いに気を付け、消化の悪いものを食べないなど注意しておきましょう。

【受診のタイミング】吐き気が続いて水分が取れない時、さらに下痢も合併しているときは特にお子さんでは脱水状態になりやすいので早めに受診して下さい。口の中が乾いたり、涙の出が悪くなったり、尿の出が悪くなったり、ぐったりして元気がなくなったりするのは脱水のサインですから要注意です。必要な場合には点滴で水分を補充する必要があり、重症の場合には入院して続けて点滴をする必要もでてきます。

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