溶連菌感染症について
【ヨウレンキンとは?】溶連菌とは溶血連鎖球菌の略語で、その中でもA群ベ-タ溶連菌というタイプが病原性が強い事が知られています。
【伝染】人から人に咳や唾液を通して感染します。麻疹や水痘等のウイルス性の病気ほど伝染力は強くないのですが、家族内や幼稚園、学校など接触が濃厚な所では容易に伝染します。感染してから早ければ1日以内に症状がでます
【症状】のどに菌がついて咽頭炎を起こす事が多いので咽頭炎について主に説明します。 高熱が出て、のどの痛みや頭痛を訴え、腹痛や吐き気を伴うこともあります。一般的なカゼとくらべてぐったりして重い病気の印象があります。咽頭が真っ赤にはれ 上あごの粘膜に特徴的な赤い斑点が出たり、舌に細かい赤いぶつぶつが出て苺のように見えたりします(苺舌といいます)。また猩紅熱(しょうこうねつ)といって、菌の毒素が悪さをして、下腹部など皮膚の柔らかいところを中心にに赤く細かいざらざらした発疹が出て、ひどい場合には全身に広がることもあります。
その他のど以外では皮膚についてとびひ(通常はブドウ球菌によるものが多い)を起こしたり皮下組織や筋膜に重症の感染をおこすこともあるので要注意です。
【診断】症状や診察所見から典型的な例では容易に診断がつきますが乳幼児ではのどの所見がはっきりしない事もあります。のどの細菌を培養して検査すればどのような菌が原因になっているか診断できますが、結果が判明するまでに数日かかります。最近ではのどの粘液をとって検査してその場ですぐ溶連菌がいるどうか診断がつく迅速診断が広く行われており非常に有用です。
【治療】症状は強いのですがお薬が良く効くのが特徴です。ペニシリン系の抗生物質が一般的に使用されますが服用を始めて1~2日で熱も下がり、元気になることが多いようです。ただし、再発しやすいので最低10日から2週間はしっかりお薬を飲んでもらうことが必要です。お薬の飲み方が不十分だと再発したり合併症を起こしやすくなるので気をつけましょう。熱が下がって内服を続けていれば伝染性もないので、本人の具合が良ければ集団生活も可能です。学校の場合も学校伝染病になっていますので休んでも欠席扱いにはなりませんが、その場合症状がなくなった時点で診察を受けて治癒証明を書いてもらう事が必要です。しばらくは激しい運動は避けた方が良いでしょう。
【家庭内感染】患者さんから兄弟や両親に感染して同様の症状が出る事が良くあります。また、はっきりした症状がなくても溶連菌の検査をすると陽性に出ることもあります。
せっかく患者さんがお薬を飲んで治療しても他の御家族がそのまま菌を持っていてその菌をもらって再発することもあります。従って患者さんが1人出た場合は御家族全体の検査と治療の計画をしっかり立てることが必要だと思います。
【合併症】急性腎炎やリウマチ熱などいくつかの合併症がありますが最近は抗生物質による治療が確立しているためか、ごくまれになりました。急性腎炎は溶連菌感染後2~3週たって起きます。ひどければ体がむくんだりコ-ヒ-色の尿が出たりしますが、軽い場合ははっきりした症状が出ないで終わってしまうこともあり、あとで定期検診で血尿や蛋白尿が見つかることもあります。必ず感染後3~4週頃に一度尿検査を受けましょう。その時に咽頭に菌が残っていないかどうかも検査しておくと良いと思います。
また一度溶連菌にかかった方はまたかかりやすいので同様の症状があったら必ず受診し必要な場合は検査を受けるようにしましょう。
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