2020年6月 1日 (月)

◎新型コロナウイルス感染症について   2020.6.1

<感染の仕方>一般的には飛沫感染、接触感染で感染します。空気感染は起きていないと考えられています。 飛沫感染は感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つばなど)と一緒にウイルスが放出され、他の方がそのウイルスを口や鼻などから吸い込んで感染します。閉鎖した空間で、近距離で多くの人と会話するなどの環境では、咳やくしゃみなどがなくても感染を拡大させるリスクがあります。接触感染は感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、その手で周りの物に触れるとウイルスがつきます。他の方がそれを触るとウイルスが手に付着し、その手で口や鼻を触ると粘膜から感染します。一番大事なのは「ウイルスが体に入るのは、目と鼻と口しかない」ということです。万が一手にウイルスがついても、顔さえ触らずに手をしっかり洗えば安全です。

<感染力>80%の方は誰にもうつしていないというデータがありますが、特定の環境で特定の方から多くの人に感染したと疑われる事例もあります。

<症状>感染から約5日間(114日間)の潜伏期を経て発熱、咳、咽頭痛、倦怠感等の感冒様症状が出現しそれらの症状が比較的長く(約7日間)持続します。熱がそれ程高くないのに倦怠感が強いことがありますまた味や臭いが判らないという特有な症状も報告されています。約8割の患者さんは自然に軽快して治ります。約2割の方は肺炎を合併します。その場合数日間カゼ症状が続いた後で急に呼吸困難の症状が出ることがあるので要注意です。特に高齢者や糖尿病、高血圧等の基礎疾患がある方は肺炎を合併しやすいようです。肺炎を合併した方のさらに一部が重症化して集中治療や人工呼吸を要するようになります。

<小児>中国のデータでも小児は患者が少ないようです。45000人中09才は400人と1%位ですし死亡者もゼロです。アメリカでも18歳未満の小児は人口の22%を占めるようですが国内感染者の1.7%で死亡者も全死亡5443人中3名です。日本では10歳以下は現在のところ10608人中158人(1.5%)です。勿論ゼロではありませんが、小児の感染は幸い確率的には非常に少ないと考えられます。

<妊婦さん>現在までのデータでも特にリスクが高いということはないようです。

<受診の注意>感染しているのではないかとの不安から適切な相談をせずに医療機関を受診する方がいると、かえってご自身が医療機関において感染するリスクも高めることになります。軽いカゼ症状の場合は医療機関を受診せず自宅で安静にして経過を見られた方が良いと思います。

<一般的な注意>不要不急の外出を控える。換気が悪く人が密に集まって過ごすような空間、不特定多数の方が接触する恐れが高い場所いわゆる三密への出入りをできる限り避ける事が大事です。上記のような場所では以下の注意を

○換気を行う(可能であれば2つの方向の窓を同時に開ける)

○人の密度を下げる(互いの距離を1、2メートル程度あける)

○近距離での会話や発声などを避ける(やむを得ない場合はマスクをつける)ことが必要です。

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2018年2月 5日 (月)

インフルエンザの迅速診断について

 

インフルエンザの迅速診断キットが開発され鼻等の粘液を取って検査すれば診断がつくようになり、患者さん方も検査を前提にして受診なさる方も多いようですが、いくつか注意点もありますのでまとめてみました。

迅速検査の陽性率は80%程度で全例陽性になるわけではありません。

発熱後12時間以内の初期では陽性率が6070%程度です。従って発熱してすぐ検査しても偽陰性になる可能性が高く、検査が無駄になってしまう可能性があります。発熱確認後最低6時間程度経って検査しないと意味がないと思われます。

インフエンザは本来自然に治る病気であり、合併症を起こさなければ数日で軽快します。

発病後48時間以内に治療を開始すれば発熱期間が短くなるといわれています。従って発熱してすぐあわてて治療を開始する必要はありません。熱がつらければ解熱剤の投与で様子をみて、翌日検査して陽性なら治療を開始するということで問題ありません。

インフルエンザの診断に必ず検査が必要という訳ではありません。ご家族ですでにインフルエンザと診断された方がいて、引き続いて高熱を出されたような場合は臨床的にインフルエンザと診断して治療を開始して構いません。学校等へのお届けもインフルエンザという診断名になります。

会社等でインフルエンザでないことを証明するために検査を受けるように言われることがありますが上記のごとく検査が陰性でもインフルエンザを否定できる訳ではありません。

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2017年9月 1日 (金)

RSウイルス感染症について

Q:RSウイルス感染症とはどのような病気ですか?

A:RSウイルスによる呼吸器の感染症で寒い季節に多くみられます。生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の児がRSウイルスに一回は感染するとされています

Q:RSウイルスはどのように感染しますか。

A:RSウイルスに感染している人が咳やくしゃみ、又は話をした時に飛び散るしぶきを浴びて感染します。またウイルスがついている手指や物品(ドアノブ、手すり、スイッチ、机、椅子、おもちゃ、コップ等)を触ったり又はなめたりすることでも接触感染します。 

Q:どのような症状が出ますか?

A:RSウイルスに感染してから通常46日位して発熱、鼻汁などの症状が出て数日続きます。多くは軽症で、成人や年長児では普通はカゼ症状で終わりますが、乳児期、特に乳児期早期(生後数週間~数カ月間)に感染した場合は重症化することがあります。最初は咳、鼻水、鼻づまりなどのカゼ症状で始まりますが、次第に咳がひどくなる、ゼイゼイする、呼吸困難となる等の症状が出てくることがあり、その場合には細気管支炎や肺炎を起こしている可能性があります。特に低出生体重児や、肺や心臓に病気がある方は重症化のリスクがあります。胸やおなかをペコペコさせて息をしている、顔色が悪い、母乳やミルクの飲みが悪い等の時は要注意で早めに受診していただく必要があり、重症になった時は入院して酸素吸入等の治療が必要になることがあります。その他重い合併症として注意すべきものには、無呼吸発作、急性脳症等があります。  

Q:診断のための検査はありますか?

A:綿棒で鼻から取って迅速検査できるキットがありますが重症化しやすい1才未満の方のみ保険の適応があります。

Q:どうすれば予防できますか?

A: 咳等の症状がある年長児や成人は、できるだけ乳児と1歳児との接触を避けることが乳幼児の発症予防につながります。また、乳児と1歳児に日常的に接する人は、RSウイルス感染症の流行時期はもちろんのこと、普段から咳などの呼吸器症状がある場合はマスクを着用してお子さんに接することが大切です。接触感染の対策としては、子どもたちが日常的に触れるおもちゃ、手すりなどはこまめにアルコールや塩素系の消毒剤等で消毒し、流水・石鹸やアルコール製剤による手洗いを良くすることが大事です。

Q:治療方法はありますか。

A:特別な薬はありません。治療は基本的には症状を和らげる対症療法です。また現在、予防のためのワクチンはありません。但し遺伝子組換え技術を用いて作成されたモノクローナル抗体製剤であるシナジスというお薬があります。非常に高価なお薬ですが、低出生体重児や、肺や心臓に病気がある等重症化するリスクの高い方に、流行初期から流行期中継続して筋肉注射することにより、重い症状を予防することができます。対象になる方はもとの病気でかかっている病院からお話があると思います。

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2017年6月 7日 (水)

ヒトメタニューモウイルスについて

最近ヒトメタニューモウイルスが流行しています。どんな疾患なのかQ&Aで簡単にまとめてみました。

Q:あまり耳慣れないのですがヒトメタニューモウイルスというのはどんなウイルスですか?A:呼吸器に感染するウイルスの一種です。13歳の幼児の間で流行することが多いのですが、大人にも感染します。小児の呼吸器感染症の510%、大人の呼吸器感染症の24%は、このウイルスが原因だと考えられています。とくに乳幼児や高齢者では重症化することもあり注意が必要です。

Q:どんな症状が出ますか?A:ヒトメタニューモウイルス感染症の症状はいわゆる風邪の症状ですが、一般的な風邪よりひどい症状が出ます。鼻水も量が多く出ます。咳は1週間程度と長く続き、悪化すると 喘息性気管支炎や細気管支炎を起こし、ゼイゼイ、ヒューヒューして呼吸困難を起こすこともあります。熱も45日高熱が続くことがあります。通常1週間程度で症状は治まります。何度か繰り返して感染することがありますが年齢が上がるにつれて徐々に免疫がつき、症状が軽くなる傾向にあります。季節は36月、つまり春先から梅雨の時期に流行が多くみられます。症状はやはり乳幼児で多いRSウイルスに似ており症状だけで鑑別するのは難しいですがRSウイルスは冬に多いのが特徴です。
Q:どうやって診断するのでしょうA:インフルエンザやRSウイルスと同様に迅速診断のキットがあります。鼻や咽頭を細い綿棒でぬぐって検査し515分程度で診断可能です。但し健康保険では6才未満のお子さんで、肺炎を疑ってレントゲン写真を撮った方のみ検査の適応になります

Q:治療はどうするのですか?A: ヒトメタニューモウイルスに対する特別なお薬はありません。細菌ではないので抗生物質もウイルスそのものには効果ありません。従って治療は対症療法が主になります。咳や鼻水を抑えたり、熱を下げたりするためのお薬を処方します。自宅療法としては水分をしっかりととり、温かくして、ゆっくりと休みましょう。

熱が長引く時は細菌による中耳炎や肺炎などの合併症をおこしていることがあるので、もう一度早めに受診しましょう。抗生物質の投与が必要になることもあります。残念ながら予防のワクチンはまだありません。

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2015年5月29日 (金)

溶連菌感染症について

【ヨウレンキンとは?】溶連菌とは溶血連鎖球菌の略語で、その中でもA群ベ-タ溶連菌というタイプが病原性が強い事が知られています。

【伝染】人から人に咳や唾液を通して感染します。麻疹や水痘等のウイルス性の病気ほど伝染力は強くないのですが、家族内や幼稚園、学校など接触が濃厚な所では容易に伝染します。感染してから早ければ1日以内に症状がでます

【症状】のどに菌がついて咽頭炎を起こす事が多いので咽頭炎について主に説明します。 高熱が出て、のどの痛みや頭痛を訴え、腹痛や吐き気を伴うこともあります。一般的なカゼとくらべてぐったりして重い病気の印象があります。咽頭が真っ赤にはれ 上あごの粘膜に特徴的な赤い斑点が出たり、舌に細かい赤いぶつぶつが出て苺のように見えたりします(苺舌といいます)。また猩紅熱(しょうこうねつ)といって、菌の毒素が悪さをして、下腹部など皮膚の柔らかいところを中心にに赤く細かいざらざらした発疹が出て、ひどい場合には全身に広がることもあります。

 その他のど以外では皮膚についてとびひ(通常はブドウ球菌によるものが多い)を起こしたり皮下組織や筋膜に重症の感染をおこすこともあるので要注意です。

【診断】症状や診察所見から典型的な例では容易に診断がつきますが乳幼児ではのどの所見がはっきりしない事もあります。のどの細菌を培養して検査すればどのような菌が原因になっているか診断できますが、結果が判明するまでに数日かかります。最近ではのどの粘液をとって検査してその場ですぐ溶連菌がいるどうか診断がつく迅速診断が広く行われており非常に有用です。

【治療】症状は強いのですがお薬が良く効くのが特徴です。ペニシリン系の抗生物質が一般的に使用されますが服用を始めて1~2日で熱も下がり、元気になることが多いようです。ただし、再発しやすいので最低10日から2週間はしっかりお薬を飲んでもらうことが必要です。お薬の飲み方が不十分だと再発したり合併症を起こしやすくなるので気をつけましょう。熱が下がって内服を続けていれば伝染性もないので、本人の具合が良ければ集団生活も可能です。学校の場合も学校伝染病になっていますので休んでも欠席扱いにはなりませんが、その場合症状がなくなった時点で診察を受けて治癒証明を書いてもらう事が必要です。しばらくは激しい運動は避けた方が良いでしょう。

【家庭内感染】患者さんから兄弟や両親に感染して同様の症状が出る事が良くあります。また、はっきりした症状がなくても溶連菌の検査をすると陽性に出ることもあります。

せっかく患者さんがお薬を飲んで治療しても他の御家族がそのまま菌を持っていてその菌をもらって再発することもあります。従って患者さんが1人出た場合は御家族全体の検査と治療の計画をしっかり立てることが必要だと思います。

【合併症】急性腎炎やリウマチ熱などいくつかの合併症がありますが最近は抗生物質による治療が確立しているためか、ごくまれになりました。急性腎炎は溶連菌感染後2~3週たって起きます。ひどければ体がむくんだりコ-ヒ-色の尿が出たりしますが、軽い場合ははっきりした症状が出ないで終わってしまうこともあり、あとで定期検診で血尿や蛋白尿が見つかることもあります。必ず感染後3~4週頃に一度尿検査を受けましょう。その時に咽頭に菌が残っていないかどうかも検査しておくと良いと思います。 

 また一度溶連菌にかかった方はまたかかりやすいので同様の症状があったら必ず受診し必要な場合は検査を受けるようにしましょう。

 

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アデノウイルス感染症について

アデノウイルスはお子さんを中心に様々な症状を示すウイルスですがあまり知られていないようです。たくさんの型がありそれによって起こす症状も様々です。簡単にまとめてみました。

【伝染性】患者さんののどや便、眼脂のウイルスがのど、鼻、結膜から侵入して感染をおこします。潜伏期間は5~7日程度です。主に乳幼児や学童に感染し、成人がかかる事は比較的少ないのですが、お子さんから親御さんにうつることも時々あります。

【症状】ウイルスの型によって様々な症状が出ますが主なものをあげてみます。 ○咽頭炎、扁桃炎: 最初から39℃以上の高い熱が出てぐったりします。のどが赤くなり次第に扁桃腺がはれて、白い膿のようなものがついてきます。  5日位高熱が続くことがあり、季節によってはインフルエンザではと心配される事もよくあります。 ○結膜炎を起こすこともよくあります。結膜が赤くなり目やにが出ます。  咽頭炎に伴って結膜炎を起こした場合は咽頭結膜熱といいます。夏プ-ルでうつることもあるのでプ-ル熱とも呼ばれています。 ○胃腸炎 下痢や嘔吐などの胃腸炎の症状を起こすこともよくあります。 その他まれですがアデノウイルス7型といって乳幼児に重症の肺炎を起こすものもあります。

【診断と治療】これまでは良い検査法がなかったのですが最近は咽頭、結膜や便を検査してその場で診断することもできるようになりました。ウイルスそのものに効くお薬はないのですぐ治療に役立つということはないのですが、他の病気の心配をする必要が無くなりますし、「あと2~3日で熱が下がるでしょう」と見通しが立てられますので非常に役に立つと思います。おかげで発熱の原因がわからずに入院になったりするケ-スも減りました。

【治療と自宅療法】ウイルスに直接効くお薬はありません。熱が高くてぐったりするときは解熱剤の飲み薬や坐薬をつかってあげましょう。合併症の予防で抗生物質の内服薬や点眼薬が処方されることもあります。  自宅で安静にするのが大事です。のどが痛くて食事がとれない場合もあると思いますが水分をこまめに充分与えて下さい。  結膜にウイルスがいてお顔をふくタオルからうつることもあるので患者さんのタオルは別にする等の注意が必要です。  咽頭結膜熱は第二種伝染病に指定されているので学校、幼稚園は休んでいただき症状が良くなって2日後から出席可能です。届けを出せば欠席扱いにはなりませんが登校する場合には治癒証明書が必要です。

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2013年4月 6日 (土)

風疹について(成人の風疹ワクチン接種も含めて) 

Q:風疹とはどんな病気ですか?

A:風疹は風疹ウイルスが咳などで飛んで気道から伝染します。潜伏期間は2~3週です。症状は熱が出て1~2日してから 淡い紅色の小さい発疹が顔、頚から出始めて全身に広がります。また頚部、耳の後、後頭部のリンパ節が腫れます。34日で熱も下がり発疹も消えていきます。熱は38℃程度でほとんど熱の出ないこともあります。一般に予後良好ですがまれに関節炎、脳炎、血小板減少性紫斑病などの合併症が年齢にかかわらず起き、成人の方が関節炎を起こしやすいようです。

Q:比較的軽い病気のようですがなぜ流行が問題になるのですか?

A:かかっても患者さん自身はそれほど心配な病気ではないのですが、最も問題になるのが先天性風疹症候群です。妊娠早期(14か月)の妊婦さんが風疹ウイルスに感染すると胎盤から胎児に感染し,生まれてくる赤ちゃんに難聴,白内障,心臓病などの先天異常が起こります。その発生率は妊娠3か月以内の風疹感染で20%にもなります。平成26年から平成29年にかけては、各々年間319例、163例、129例、93例の報告がありました。

Q:最近の流行で成人男子(おじさん世代)が多いのはなぜですか?

A:平成242日以降に生まれた人は2回、公費でワクチンを受ける機会がありましたが、昭和54年度から平成元年度に生まれた男性は受けていても1回です。そして、昭和5441日以前に生まれた男性は1回もその機会がなく、十分な免疫を持たない人達が蓄積していたものと考えられています。

Q:では対策としてどうすれば良いのでしょうか?

A:ワクチン(麻疹風疹混合ワクチン)を接種することによって、95%以上の人が風疹ウイルスに対する免疫を獲得することができると言われています。

Q:最近国の施策で風疹の追加的対策が始まりましたが具体的にはどんな内容ですか?

A:抗体保有率の低い世代の昭和37 年4月2日から昭和54 年4月1日生まれの男性に2022 年3月末までの3 年間に限り、風疹の抗体検査・予防接種を公費で受けられるようにし、この世代の抗体保有率を90%以上にすることを目指しています。但しワクチンを効率的に活用するため、まずは抗体検査をして十分な量の抗体がない方が、予防接種法に基づく定期接種の対象になります。

 

最近流行している風疹はお子さんだけでなくお母さんにも問題となる病気です

 

 

【伝染】風疹は風疹ウイルスが咳などで飛んで気道からうつります。潜伏期間は13週です。最近全国的に成人男性を中心に流行が広がり問題になっています。

 

 

【症状】熱が出て12日してから 淡い紅色の小さい発疹が顔、頚から出始めて全身に広がります。また頚部、耳の後、後頭部のリンパ節が腫れます。34日で熱も下がり発疹も消えていきます。熱は38℃程度で、ほとんど熱の出ないこともあります。

 

 

一般に予後良好ですがまれに関節炎、脳炎、血小板減少性紫斑病などの合併症があります。

 

 

診断は流行期には比較的容易ですが、もともと比較的軽い病気のため診断が難しい場合もあり、確実に診断するためには回復後の抗体検査が必要です。

 

 

【治療】自然に治る病気ですので特別な治療はいりません。但し伝染力はあるのでお家で静かにして経過を見ましょう。発疹が消失するまでは登園、登校は停止です。

 

 

【先天性風疹症候群】

 

 

 妊娠早期(14か月)の妊婦さんが風疹ウイルスに感染すると、胎盤から胎児に感染し生まれてくる赤ちゃんに難聴、白内障、心臓病などの先天異常が起こります。その発生率は妊娠3か月以内の風疹感染で20%にもなります。

 

 

【予防】風疹はワクチンを接種することによりほとんど予防可能です。風疹ワクチンは、副反応の少ない非常に安全なワクチンの一つです。

 

 

お子さん:ワクチン接種がお子さん自身の将来にわたる予防になりますし、妊婦さんの周囲にいる幼児の風疹をワクチンにより防ぐことが,妊婦の風疹感染を防止することにつながります。

 

 

麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)を使用して第1期と第2期の2回接種します。

 

 

   お子さんは公費で無料で接種できます。

 

 

第1期 1才~2才未満   1才になったら早めに接種を受けておきましょう。

 

 

   第2期  小学校入学1年前の41日から入学前の331日まで

 

 

成人女性:妊娠する可能性がある女性は必ず抗体検査を受け、陰性の場合には予防接種を受けておきましょう。接種後は2~3か月間避妊する必要があります。ただし妊娠が判明してからは予防接種をすることはできませんので、抗体陰性の妊婦さんは風疹患者との接触を避けなければいけません。万一風疹感染が疑われたときは必ず血清診断を行う必要がありますので産科の先生と充分御相談下さい。また抗体の低い方は次の妊娠時の危険をなくすため出産直後にワクチン接種をしておくことをお勧めします。

 

 

成人男性:最近流行が問題になっている30代から50代前半の男性は当時の予防接種制度では接種を受けていない方が多く、風疹の免疫を持っていない方が多いようです。これまで風疹の予防接種をうけたことがない方で、特に妊娠している方が身近にいる場合はなるべく早く予防接種をうけることをお勧めします。接種をうけた方から妊婦さんに風疹ワクチンのウイルスがうつる可能性はありません。またこれまで予防接種を受けていたとしても、または風疹にかかっていたとしても、再度予防接種をうけることによる特別な副反応がおこることはありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2012年11月30日 (金)

ウイルス性胃腸炎

毎年冬になると胃腸炎の症状で受診される患者さんが増加します。そのほとんどがウイルス性胃腸炎(要するにおなかにくるカゼ)です。症状と治療についてまとめてみました。

【病原体と症状】胃腸炎を起こすウイルスには多くの種類がありますが、ノロウイルス、ロタウイルスなどは冬に流行します。伝染力も強く、便に排出されて手について感染したり、唾液が飛んでうつることもあります。感染してから1~2日と短期で発病します。いずれも吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、発熱等の症状を起こしますが症状だけから原因ウイルスを診断することは困難です。

 ノロウイルスは成人にもよく感染します。吐き気と上腹部痛が強いのが特徴です。保育園などでお子さんが感染して御両親にうつって一家全滅というケ-スもよくあります。また生ガキなどについていて集団食中毒の形で発生することもあり、老人ホ-ム等で集団感染することもあります。少量のウイルスでも感染するので吐物や下痢便を処理した後は充分手洗いしましょう。

 ロタウイルスは、白い下痢便が頻回に出ることが多く、白色便性下痢症とも呼ばれています。乳幼児に感染する事が多く保育園などで集団感染し、症状も重症化する事が多いのですが、最近は軽症化する傾向があるように思います。必要な場合には便を検査して診断することもできます。

  なお、細菌性の食中毒は冬期には少ないのですが高熱が続いたり、便に血液が混じったりする場合はその可能性もあり検査を受ける必要もあります。(くわしくは当シリ-ズの「食中毒について」を御覧下さい)

【自宅療養の注意点】まず脱水状態にならないように水分の補給が大事です。大人の方で水分を飲むと吐き気や下痢をするというので水分を飲むのをがまんする方がいますが、非常に危険です。湯冷ましや番茶、スポーツ飲料(冷やしていないもの、お子さんの場合はお子さん向きのものか大人用を湯冷ましでうすめて)等を少量ずつ頻回に取るようにしましょう。ジュースや牛乳などはお子さんが欲しがっても吐きやすいので避けましょう。

 吐き気止めのお薬(坐薬か飲み薬)を処方された場合、使って2030分してから水分を少量ずつ飲んでみて下さい。少量ずつでも飲めれば良いと思います。

 食事がとれないことを心配される方がいますが、人間の体にはエネルギ-の蓄えがありますから水分さえとれていれば急いで食べる必要はありません。無理に食べると嘔吐、下痢の症状が長引くこともあります。お子さんの場合も吐き気がすっかり落ち着くまでは、欲しがっても少しがまんさせた方が良いでしょう。おなかが空くときはあめ玉をなめてもいいと思います。吐き気やひどい下痢が落ち着いたらおかゆ、うどんなどの消化の良いものを少量ずつ取って下さい。

 赤ちゃんの場合、母乳はそのまま与えてもかまいません。ミルクは、下痢がひどい場合は半分位に薄めた方が良いと思います。赤ちゃん用のスポ-ツ飲料も良いと思います。

ミルクの中の乳糖の消化が悪くなって下痢が長引くこともあり、乳糖の消化を良くするお薬を処方しますのでミルクに混ぜて与えて下さい。離乳食は一旦お休みにして症状が良くなってからおかゆなど消化の良いものから再開しましょう。

  家族の中でどなたか症状が出た場合他の方にも短期間でうつる可能性がありますので、手洗いに気を付け、消化の悪いものを食べないなど注意しておきましょう。

【受診のタイミング】吐き気が続いて水分が取れない時、さらに下痢も合併しているときは特にお子さんでは脱水状態になりやすいので早めに受診して下さい。口の中が乾いたり、涙の出が悪くなったり、尿の出が悪くなったり、ぐったりして元気がなくなったりするのは脱水のサインですから要注意です。必要な場合には点滴で水分を補充する必要があり、重症の場合には入院して続けて点滴をする必要もでてきます。

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2010年8月 2日 (月)

感染症シリーズ 手足口病とヘルパンギーナ

 どちらも初夏から夏を中心に流行する夏風邪の一種で、腸の中で増えるエンテロウイルスという種類のウイルスによって起きる病気です。

 エンテロウイルスにはコクサッキ-ウイルスなどたくさんの種類がありますが、どちらの病気もそれぞれいくつかのウイルスが原因になって起きることがわかっています。

【伝染】患者さんの唾液や便を通してウイルスが感染し、感染して5日位で発病します。どちらも伝染力が強く、集団のなかでどんどん広がることがあります。但し、感染しても症状がでないで気づかないうちに治ってしまう場合も多いようです。

【症状】

◎手足口病:文字通り手の平や甲、足の裏や甲、舌や口の粘膜に水疱疹ができます。また膝、肘、お尻にも盛り上がったブツブツができることがあります。手足の発疹は痛みはほとんどありませんが、舌や口の水疱は破けてビランになり強い痛みを訴えることもあります。熱は病初期に微熱が出る事が多いのですがまれに高熱が出ることもあります。これらの症状は1週間程度で回復します。

◎ヘルパンギ-ナ:急に38℃~40℃の高い熱が出るのが特徴です。熱が高くなるため

ひきつけの体質のある方ではひきつけを起こすこともあります。のどの奥をよく見ると

口蓋垂(いわゆるノドチンコ)の両側に小さい水疱疹を認め、やはり強い痛みを訴えます。熱が高いわりには早ければ1~2日で解熱するのが特徴です。

【治療と自宅療法】どちらもウイルスによる病気で自然に治るので、抗生物質は無効であり、特別な薬はありません。お熱が高くてぐったりしたときには解熱剤を使用しても良いと思います。手足口病の場合は舌などのビランの痛みが強いときは外用薬を塗って少し痛みが軽くなる事もあります。 

 口の中が痛い時はからいもの、硬いもの、酸っぱいもの、熱いものは避けて口当たりが良くかまずに食べられるもの(ゼリ-など)を与えましょう。食事ができなくても水分が取れれば数日間は心配ありません。水分もジュ-ス等すっぱいものは避けましょう。

【合併症について】通常は合併症なくなおりますが、ごくまれに手足口病で髄膜炎や脳炎を合併するという報告があります。今年(平成22年)の手足口病はエンテロウイルス71型というタイプが多く髄膜炎や脳炎を起こしやすいといわれています。頻度からしてもあまり心配する必要はないと思いますが、嘔吐が続いたり意識がぼんやりしたり心配な症状があれば早めに再診して下さい。

【隔離について】具合の悪い間は保育園や幼稚園、学校はお休みしましょう。体調が回復するまではスイミングなどの運動も避けた方が良いと思います。

 症状がなくなった後も便の中にはかなり長期間ウイルスが排泄されるようです。従って症状があるときだけ隔離しても現実にはあまり意味がないという事になり、本人の体調が許せば保育園なども登園可能という所が多いようですが、それぞれの方針があると思いますのでお問い合わせ下さい。

 但し生まれたばかりの赤ちゃんにうつると心配ですので接触しないようにしましょう。

【免疫について】1つの型のウイルスについては一度感染すると免疫ができて二度かかることはありませんが、どちらの病気も原因のウイルスは数種類あるため2~3回かかることがあります。大人は免疫を持っている方が多いのでまれにしかかかりませんが、かかると症状が重くなることもあります。

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2006年9月 7日 (木)

感染症シリ-ズ:おたふくかぜ

最近おたふくかぜが流行しているので、まとめてみました。 

【伝染】ウイルスによって起きる病気で冬,春に多いようですが年間を通じて発生します。患者さんの唾液などによってうつり、2~3週間で発病します。水ぼうそうやはしかに比べると伝染力は弱いようです。

【症状】耳の下部にある耳下腺がはれます。初期に発熱する事が多いですが熱が出ないこともあります。耳下腺のはれは片側からはじまり両側がはれることが多いのですが片側だけで終わることもあります。かたいものやすっぱいものを食べたときに痛みが強くなるのも特徴です。耳下腺以外にも顎の下の顎下腺もはれる事がよくあります。1週間位で耳下腺のはれは良くなります。3~5才でかかる方が最も多く、年齢の小さい方は感染しても症状が出ないで終わることがあります。大人がかかるとはれもひどく高熱が続き、かなりつらい思いをすることになります

【合併症】合併症としては髄膜炎,脳炎,難聴、膵炎,睾丸炎等があります.髄膜炎,脳炎は小児に多い合併症で,一度症状がよくなってから再び熱が出たり頭痛や吐き気を訴えたりします。ほとんどが自然に治りますが、まれにムンプス難聴と呼ばれる片側の難聴を残すことがあるので要注意です。思春期以降の年長児や大人がかかると男性の場合2~3割の方で睾丸炎がみられ、睾丸がはれて痛みが出ます。通常は片側だけですので,後遺症としての不妊症になる頻度は低いようですがこれも要注意です。

【診断】通常は症状から診断できますが、軽症の場合や初期の場合は診断が難しい場合もあります。リンパ節炎などいくつかまぎらわしい病気があり、耳の下がはれたから必ずしもおたふくかぜとは限りません。尿を調べて尿の中のアミラ-ゼという酵素が上昇していると診断の助けになります。但し耳下腺がはれた場合でも反復性耳下腺炎といって片側の耳下腺がはれてすぐにおさまるという事を繰り返す病気もあります。

本当におたふくかぜにかかると免疫ができ、2回かかることはまずありません。何回もおたふくかぜにかかったとおっしゃる方がいますが実際にはあり得ないと思われます。片側しかはれなかったから再びもう一方にかかるということもありません。どうしても診断がつかなかったときは後で血液を検査して抗体を調べるとはっきりします。

【治療と自宅での注意点】特別な治療法はなく、痛みや熱が強いときは鎮痛解熱薬を投与します。かたいものやすっぱいものなど唾液を出すものを食べると痛みが強くなるのでプリン、ゼリー、お粥、豆腐など口当たりの良いものを与えると良いでしょう。

 一度下がった熱がまた高くなったり頭を痛がったりする時には髄膜炎,脳炎を併発した可能性があるので早めに再診して下さい。また男の子の場合恥ずかしがって睾丸がはれても云わないことがあるので気をつけてあげて下さい。

 耳下腺のはれが消失するまでは伝染力があるので保育園・幼稚園・学校などは休ませてください。学校を休んでも後で証明書を出せば、欠席扱いにはなりません。

【予防】ワクチンの接種が最も有効です。現在のワクチンは副作用が非常に少ないものになっています。市川市では2才以上のお子さんに一部負担だけで接種ができます。ただし患者さんと接触してからワクチンを接種しても予防はできません。

また成人の方で小児期にかかっていない方は是非ワクチンを受けておいていただきたいと思います。かかったかどうかはっきりしない方は抗体検査をすればはっきりします。以前にかかっていてワクチンを受けたとしても免疫が強くなるだけで問題はありません。

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